2019年大河ドラマ「いだてん」で杉咲花が演じる「シマ」と「りく」を紹介します。杉咲花が演じるのは、薩摩藩士で子爵を務める三島家の女中「シマ」です。
富国強兵が叫ばれる中で、スポーツは遊びとされ、うつつを抜かす人間は軽蔑された明治時代。
そんな中、天狗倶楽部を組織しスポーツに興じる三島弥彦を少しずつ理解してひかれていき、やがて自身も女性スポーツの先駆けとなっていきます。
薩摩藩の子爵であった三島家の女中という、あまり目立たないポジションにいるためか、そのモデルも分かっていません。
あくまで架空の人物と考えたほうが良いと思われます。
もともと大河ドラマにおける市井の人間は架空の人物であることが多いようです。(中村獅童が『新選組!』で演じた滝本捨助もそうでした)
ドラマでは、気遣いができ、弥彦のよき理解者です。頭が良くてパワフルで、そしておもしろくてチャーミングな方です。
シマは弥彦や四三たちの影響を受け、日本で誰も行っていない女子スポーツの世界に進みます。現代では女子スポーツ界も男子と同様に盛んになりました。
でも「いだてん」の時代は明治時代です。
先陣を切るシマの強さを見るのも楽しみですし、誰もやっていないことに挑戦する女性の姿を見て感動するファンも増えてくることでしょう。
オリンピックやスポーツに情熱を懸ける人たちを描く「いだてん」。その中に女性が描かれているのも宮藤さんの想いなんでしょうね。
三島和歌子(白石加代子)の付き人としてわずかながら登場します。
三島和歌子は『女西郷』と呼ばれる肝の据わった女性で、若きシマにも容赦がなく、シマは恐れながらも文盲の彼女に代わって本を音読したりとけなげに世話をします。
ですが、それが『嫁をいじめる姑』として着想されたらしく、和歌子とシマの関係をもとに『不如帰』という物語ができて公開されます。
それを見た和歌子は激怒しながら、仕込み杖の抜き身が出ているのも気づかず去っており、シマは必至で彼女をなだめるしかありませんでした。
このころはまだシマは女中として目立たない位置にある役回りで、まだスポーツにもひかれていない状態です。
その中で三島弥彦が金栗四三と出会ってオリンピックを志し、かつ四三との競争の中で、彼女の精神にも変化が訪れるという筋書きなんだと思います。
ところで、三島弥彦(生田斗真)は相変わらず奔放にスポーツに明け暮れる毎日です。
周りの迷惑も顧みずスポーツで型破りなことをしまくってたという話だったから、家ではドラ息子扱いだったのは想像に難くありません。
それは女中のスヤも、少なくとも、弥彦の母・和歌子を気遣ってそのように思っていたのだと思います。
薩摩藩出身の子爵の中で、スポーツに明け暮れるドラ息子がいるとなると、周りの評判は悪いと思うのです。
でも、幸か不幸か家父長の父が2歳の時に早世し、兄の弥太郎が惣領になっている状態です。
兄弟げんかはまだ描かれてませんが、のちに日銀総裁になる銀行家としては、家のことにかまけている暇などなかったのかもしれませんね。
シマと和歌子も、傍からは嫁と姑のように思われているようで、不如帰の題材の様になってしまってる状態ですが、それがどう変化するかも見ものですね。
さて、あこがれの人のお見合いや、兄の激励を聞いて、傷つき迷う四三の運命を変えたのがマラソンです。
金栗は三島ら天狗クラブが主催した『マラソン大会』を見て(とはいっても繁華街のど真ん中を走るんで、市井の人には迷惑だったと思うが)、マラソンに興味を持ち、やがて三島と一緒にオリンピック出場を志す筋書きでしょう。
杉咲花は「シマ」を演じましたが、二役でその娘「りく」も演じます。
りく を演じることになり、大好きな いだてん の現場にまだまだいられる!という喜びが大きく、夢のような気持ちでした。
最初はシマとの演じ分けに苦戦しましたが、演じるうちに、りくはシマより少し控えめな女の子だとわかった気がして、そこを一番心がけるようになりました。
とコメントしていました。
『前畑がんばれ』という河西アナウンサーの実況が有名となり、今日まで実況録音が製品化されているベルリンオリンピックの前畑秀子の決勝。
ロサンゼルスでの銀メダル以降、引退も考えていた前畑が起死回生の記録を残し、日本全体が熱狂する中で、嘉納治五郎の死、東京オリンピック返上、そして太平洋戦争が静かに近づいてきます。
戦争前の最後の花火の様に前畑が金メダルを取り、そして戦争への道が近づいている中で、金栗四三と再会したシマの娘・りくにも危機が迫っているのですが…。
りくの母で、四三の女学校教師時代の同僚であったシマが関東大震災で行方不明になったのが1923年。
その時にりくは赤ん坊でしたから、36話の時点ではもう20歳近く。
ハリマヤで針子をして生計を立てる職業婦人ですが、未婚か既婚かはまだわからず。16歳から女性は結婚できますから、これから相手を探すのでしょうか?
それでも、日本が戦争に突入していく中で、夫が満州で亡くなり、りく自身もまた一人息子を残して先立つのですが、その息子がのちの小松、および五りんとなるようです。
そういえば、熊本に帰った四三の前にふらりと現れた仲野太賀演じる人物『小松勝』。くしくも五りんこと小松と同じ苗字。
四三や勝が東京に行くことが多い中でりくとの触れ合いが増すとなると、小松勝がりくと結ばれ、五りんを産むという筋書きになると思うのです。
五りんの習慣が四三と同じ冷水を頭からかぶるというのも、四三の弟子であった小松勝が我が子・五りんに伝えたという形ならば納得がいきます。
だとすると、勝がどのような形で箱根駅伝に出場するのか、および戦争へ突入する中でどのように満州へ行き、、、
五代目古今亭志ん生(美濃部孝蔵)の落語にはまりつつ最期を迎えるのかが気になるところ。
(美濃部孝蔵も戦争開始とともに満州へ行き、家族とともに食うや食わずの生活を続けた挙句、戦後になんとか帰国してその後人気を爆発させることになります。)
りくもまた夫に先立たれた後、五りんを何とか育て上げ、母や父の写真を五りんに託して世を去っていくと思われるのですが、、、
その時にどのように勝やりくは、五代目古今亭志ん生の落語『富久』を知っていくのかが気になるところですね。
いずれにしても勝、りく、五りんは市井の人間で架空の人物ですので、結構想像の幅が広まります。
その一方、宮藤官九郎脚本の得意とする『一見無関係な複数のエピソードが「点」となり、、、
物語が進行するにつれて線で結ばれていく』という特色(『木更津キャッツアイ』等)が見えてきて、、、
今回の点と線のつながりも見えてきました。
となると後年、1964年の東京オリンピック開幕の時に、五りんは亡き父の恩師であって、かなり老いた金栗四三と再会して、、、
両親や祖母の活躍した昔を想像し、四三は昔を懐かしむという筋書きになるのでしょうか。(クライマックスとしてはインパクトが弱すぎる気もするが)
田畑政治の妻である菊枝を演じる麻生久美子、バー『ローズ』のママ役の薬師丸ひろ子。
様々な女優がいますが、その中でシマ役とその娘・りく役の二役を演じることになった杉咲花。
シマは『女性は家庭で子を産み育てることが美徳、運動なんてもってのほか』という風潮の中でスポーツに興味を持ち、、、
それでいて当時の女性の幸せであった結婚と所帯を持つという願望をかなえつつ退場していきましたが、、、
りくは女性もだいぶスポーツになじみ、世間もそれも良しという考えの中で育った中。親子とは言え、性格もだいぶ違ってくると思うのですが、娘も純朴なキャラという感じですね。
(2004年大河ドラマ『新選組!』で優香が深雪太夫とお幸の姉妹の二役を演じていましたが、この姉妹の性格は正反対でした。
妹には近藤より沖田が気にするようになるけど)
もちろんこれからりくがピックアップされ、ついには四三の弟子であった勝と結ばれ、そして五りんを産むことになると思うのですが、、、
それまでのプロセスをどう描くことになるのかが見もの。
そして、戦争に突入する激動の時代の中で、りくもまた満州に出征した夫に先立たれてしまうことになるのですが、、、
(おそらく太平洋戦争末期のソ連軍満州侵攻によってでしょうが)、その中でどのように五りんを育て上げ、、、
そして古今亭志ん生の付き人兼弟子としての五輪を作り上げていくのかが見ものです。
放映当初は、シマとその娘・りく、そして五代目古今亭志ん生の弟子五りんの存在意義がよくわからなかったのですが、、、
この血のつながった三代の祖母・母・孫は、宮藤官九郎脚本ドラマの最大の目玉である『一見お互い関係のないエピソードが「点」となり、物語が進行するにつれて線で結ばれていく』
という特色において、複数の点を線で結ぶという重要な役回りを背負っていくことになるとわかってきました。
りくはその中で、シマの娘、そして五りんの母という点では中継ぎというべき存在なのでしょうが…。
そのなかでどのように四三や小松勝との関係を作っていくか、そして太平洋戦争という激動の時代の中で夫にも先立たれていく中で…。
どのように五りんを生かし、そして母や自分の思いも託しつつ、五りんを戦後の五代目古今亭志ん生の元に向かわせていくのかがカギとなるでしょう。
低視聴率でも、点と線の結ばれ方がりくを見直すと、少しずつ見えてきたような気がします。
大河ドラマ俱楽部の管理人です。
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