大河ドラマ2020年「麒麟がくる」第10話「一人ぼっちの若者」のあらすじと感想をお届けします。
第10話では、斎藤家と織田家が同盟を結んだ結果、今川家との緊張感がさらに高まり、いよいよ織田家と今川家の交戦が始まります。
そして信長の異母兄・信広が今川にとらえられ、織田方に人質となっていた三河の若君である竹千代と交換するかどうかを迫られていきます。
その中で、美濃は織田家を手助けするかどうかを決めるため、道三は光秀を再び尾張に派遣することになり、光秀は信長と再会することになるわけです。
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門脇麦さんの綱渡りは、CGやワイヤーを使っているとは思いますが、それにしても見事な綱渡り・宙返りでしたね。
駒の特技はこれですね?まるでオリンピック選手並みの運動能力ですね。これなら一座でも活躍できますね。
現代ではロープの上を飛んだり回ったりする新感覚スポーツは「スラックライン」です。体幹が非常に優れていないとかなり難しいです。
駒はこのロープの上に乗り宙に舞いそして宙返りしていましたね。なんと素晴らしい運動神経です。
逆を言うと裏設定では、それだけ駒と伊呂波大夫の楽団の付き合いは長かったということでございましょう。
その芸達者さや、楽団とともに全国津々浦々を歩いた耐久力。
それを利用してこれからも駒は、美濃や越前を転々とする光秀をさりげなく手助けしていくと思われるのです。
⇒門脇麦は2020年大河ドラマ「麒麟がくる」で庶民のキャスト「駒」を演じる。
伊呂波大夫と駒が出会ったのは、駒が戦災孤児になって直後ということがよく分かります。
「ド派手な格好で登場しました。メイクも、衣装も奇抜ですよね。着物を3枚重ね着しています。しかも高さ10センチ以上の下駄を履いているんです。これがまた動くのが大変で、1つ壊してしまいました(笑)。でも、ロケは楽しかったです」(尾野真千子)
親を亡くして泣いていた駒を見て、伊呂波大夫が姉のように付き添おうとした気持ちはわからなくもないです。
ですが、いかんせん2人とも架空の人物なので、2人の年齢差がどれだけなのか分かりにくかったのが残念です。
(年齢差が近ければ姉妹のように感じますよね)
それでも、駒が厳しい楽団の稽古で失敗してもめげず泣かずにいるのをみて、伊呂波大夫は心強かったと思います。
と同時に、姉にはなり切れなかったと残念がるあたりは、この2人の浅からぬ絆を感じさせます。
おそらく駒が悩んでいるときに、これからも伊呂波大夫がナビゲーターとして、駒の進むべき道を示してくれるのでしょう。
ですから、良き姉御と伊呂波大夫は言っていいでしょうね。
⇒尾野真千子は2020年大河ドラマ「麒麟がくる」でキャスト伊呂波太夫を演じる。
扇子そのものが体ならば、折りたたまれて隠れている家紋は「扇子の心」といっていいでしょう。
駒は小さい時から涙をみせない子どもでした。と太夫が言っておりましたね。その駒が「桔梗の紋の扇子」を抱えて涙しています。
そばでその姿を不思議そうに見つめる東庵先生と伊呂波太夫です。駒の想いは十兵衛と駒を助けてくれた明智家の紋に寄せています。
もしかして駒を助けてくれた武将は十兵衛光秀の父・明智光綱だったかもしれません。
扇子の桔梗紋に明智家の心が明らかに穿たれていると同時に、自分の命の恩人が明智家の人間であるということに強く印象付けられて駒は感激したのだと思います。
本当のところ駒は光秀が好きだったけど、光秀は幼馴染である帰蝶が好きであったというのを知って、駒は恋敗れて傷心状態で京に戻ったものと思われます。
その中で、自分の命の恩人が、自分の好きな人の一族の一人であるというのは非常に心強かったのは確か。
5人中3人が成人することなく死亡したこの時代においては、個の志を持って相手に仕えるのではなく、『家をもって家に仕える』ことが求められたとされていました。
逆を言えばそれだけ、『家』というのが大事なのは確かだったと思われます。まだまだこの時代は家の由緒正しさが大事な時代だったといわれています。
その中で、駒の命の恩人が、明智家の人間であると知ったことで、駒は引き続き光秀とつながりができると思ってうれしかったのでしょうね。
三河の安城城では、織田方の織田信広がとらえられました。
かつて安城城は家康の4-6代くらい前まで、松平家(徳川家)の本拠地となっていたのですから、織田方に奪われても今川方に奪われても、菊丸をはじめ松平家は快く思わなかったものと考えられます。
ちなみに、安城城を拠点としていた時に松平家の家臣となった家を『安城譜代』といい、のちに一番由緒正しい徳川の家来とみなされていくのです。
松平家のかつての拠点である安城城は今川にとって、絶対に抑えたいところだったでしょう。
竹千代の父・松平広忠は気弱な人間といわれていましたから、今川に忠誠心があったかどうかはわかりません。
もちろん、太原雪斎に教えを受けたとされる竹千代も、ドラマにあったように最後まで今川に面従腹背していたかどうかもまたわかりません。
ただ、三河松平郷の支配者であった松平家が、織田家と今川家の双方に食い物にされて、ひたすら我慢を強いられているのを菊丸から聞いて、光秀は
『力がなければ松平家のように、強国に食い物にされていく。大きくて強い国を作れば、他国から侵略されずに済む』と思っていくようになると思われるのです。
そう考えると、斉藤道三の言っていた『経済力・軍事力ともに強ければ、他国から攻められずに済む』というセリフがより生きる気がするのです。
当時の美濃国は小国として描かれている気がしなくもないのです。
道三が下克上で、のちに守護であった土岐頼芸を追放して当主になったことや、道三が厳罰まで駆使して美濃の国衆を力で押さえつけていたことを考えると無理からぬことなのかもしれませんが。
そのため、美濃の国衆は道三に面従腹背し、思い通りに動かないことを道三も百も承知だったと思われます。
だからこそ『よりよく同盟相手を知る』ために、光秀を信用して使わされたのだと思うのです。ただ、
以前織田方の刺客に襲われた光秀からしてみれば、『命がいくつあっても足りない』と考えるのは当然なのかもしれませんね。
とはいえ、今回は織田方の刺客が現れなかったのは不思議な気がしますね……。同盟相手の家臣だから襲わないと考えても、ちょっと都合よすぎる気もします。
熱田の市場で、光秀は菊丸と再会します。
菊丸が三河の忍びであることは、光秀にはまだわかっていませんが、少なくとも菊丸にとって、三河の当主である竹千代が気がかりなのは光秀にもわかっていたのは確かでございましょう。
竹千代率いる三河が織田と今川の間で食い物にされているのを見て、『小国であれば必ず敵になめられ、食い物にされていく』
ということを光秀は知ると思うのです。
光秀は帰蝶に対し挨拶に行くという形で、お土産付きで帰蝶のもとに向かいます。
しかし帰蝶は、光秀が道三の命令で織田家のもとに来たというのをすぐ見抜いたようですね。
のちの道三と信長の面会で帰蝶の策略家ぶりが強調されますが、実はこの時からその芽があったと私は考えています。
のちに主従となりつつも、本能寺の変で袂を分かつことになる2人・光秀と信長。
熱田の沖であった時には、お互い素性が知られないままでしたが、今回は帰蝶を介してお互いのことをある程度知った上での再会でした。
光秀が鉄砲の達人であることを知っていた信長は光秀を試し、だれの作であるかを言い当てた光秀を高く買うのです。
ですが、当時鉄砲があまり重宝されていなかったことを考えると、光秀もびっくりしたでしょうね。
当時としては刀を見る目が武士の良しあしを知るうえで大事だったとされていますが、鉄砲の良しあしを知ったうえで相手に見込まれるのは、珍しいことだったと思われます。
帰蝶も光秀が信長を『よくわからない人』と評したと話すのですが、それで気分を害さないあたりは、このドラマの信長の良くも悪くもあけすけな面を強調していると思います。
⇒大河ドラマ2020年「麒麟がくる」のあらすじと感想まとめ一覧。
『一人ぼっちの若君』とは、信長と竹千代のことを指すと思われます。
「将棋盤がすごく重くて、信長さまの前でゆっくりおろすときは、うでとひざがプルプルしました。あと、将棋のコマを動かす順番が決まっていて、それをセリフといっしょに覚えるのが大変でした。信長さまのオーラはすごくて緊張したけど、ちゃんとできてうれしかったです」(岩田琉聖)
しかしながらその前に、伊呂波大夫の紹介も重点的にしようと思ったのかどうか、伊呂波大夫と駒の描写の癪が長すぎて、今一つ信長と竹千代の話であるということが分かりにくかったのが残念でした。
ともあれ、信長と竹千代が将棋を指す中で、竹千代自身が「信長は父を殺した張本人だが、今川に与する嫌いな父だから、恨みは毛頭ない。
仇である今川を討つためにも、今川の懐に飛び込んで実態を知りたい」
そんな思いと決意を聞いて、信長が竹千代と信広を交換する決意をするという筋書きは、結構面白かったと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
大河ドラマ俱楽部の管理人です。
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