大河ドラマ2021年「青天を衝け」第10話「栄一、志士になる」のあらすじ(ネタバレ)と感想をお届けします。
第10話では家康さんは登場しないのかな?と思っていたら中盤で登場しました。栄一が江戸から帰ってきた後に和宮の嫁入りの話がありましたね。
「こんばんは、徳川家康です」で登場し、「この頃の幕府は、将軍家茂と天皇の妹君の和宮の婚姻さえうまくいけば、幕府の権威を取り戻せると信じていました」
と、和宮の嫁入りの話です。
花嫁行列には中山道が選ばれ「総勢3万人、全長50キロの前代未聞の花嫁行列となりました」と、その様子を説明していました。
演出的に登場する箇所が毎回違います。
先週は⇒青天を衝け第9話「栄一と桜田門外の変」のあらすじ(ネタバレ)と感想。
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子供のころ、商売のために父と一緒に江戸へ行った栄一。今回は視野を広めるために一人旅した栄一ですが、ドラマでの江戸はうって変わってさびれていました。
それもそのはず、開国してから外国に金銀が多く流出するようになったのです。
それを防ぐために幕府が貨幣価値を大きく下げた結果、物価高で商人や工人の経済が破綻寸前までとなります。
当然栄一のみならず、人々の不満が外国人、そして開国に踏み切った幕府に向かうのは当然ですよね。
本来刀を抜くことはほとんど禁止されていたのですが、栄一も今の世の中ではいけないと、志士を志すようになります。
しかし浪人に指摘されたように、もともと農民の生まれである上に剣術もあまり達者でない栄一は、わらをうまく斬ることが出来ませんでした。
それでも夢中でわらを斬っていましたね。
周りに馬鹿にされたくないという負けん気のほかに、志士として世の中を変えたいという思いもあったような気がしますね。
「草莽の志士(そうもう)」とは、吉田松陰が唱えた「草莽決起」からきたものです。
幕府の要人や藩の上層部ではなく、自分たちのような下級武士や農民たちが決起し、世の中を変えていくということです。
栄一は江戸で知り合った武士から「草莽の志士」について話を聞き、自分も志士になることを志します。
ただ栄一は、激情家で悲憤慷慨型であった多くの草莽の志士たちとは違っていました。
栄一は口達者で一歩引いて物事を考えられる性格であったため、本質的にはなじめない存在だったのかもしれません。
もちろんその性格が、明治時代まで生き延び、今日まで生きる日本経済を作る原動力になったのは確かですね。
長七郎は公武合体を進める老中・安藤信正に天誅を加え、自らも武士として切腹する道を選ぼうとします。
ですが、栄一と惇忠は一歩引いて物事を考えられる性格から必死に止めようとします。
「老中一人倒したところで、幕府のシステムも、農民が武士より下とされるシステムも変わらない」と合理的な考え方を示す栄一。
「今は一橋慶喜公に頼んで、幕府に攘夷をしてもらうよう働きかけている。命を無駄にすべきではない」と諭す惇忠。
どちらも血気盛んな長七郎と異なり、より広い範囲で物事を考えられる性質がよくわかる気がしますね。
だからこそどちらも維新まで生き延びた気もします。
天皇の妹である和宮は、ドラマでもあったように、、、
「すでに公家の婚約者もいるのに、ましてや千年のことである京都を離れて、粗野で武骨な人間の多い江戸へは行きたくない」というのが本音であったでしょう。
しかし孝明天皇が幕府の交渉に折れたために、仕方なく輿入れしたというのも確かだと思います。結婚の方法は、和宮が主人、家茂が客人という形で行われました。
そして、輿入れで和宮が中山道を通る際、ドラマにもあったように数万人の人足と多額の費用をかけていました。
そのことから考えても、いかに将軍家が公武合体を進めるためにへりくだっていたのかがわかります。
ただ、このことは「天皇家である和宮が将軍家である家茂より上である」ということを天下のみならず大奥にも知らしめてしまいます。
それがのちの天璋院と和宮の対立につながっていくものと思われるのです。もともと2人は天皇家と武家という風に、育ちも全然違うわけです。
実際、和宮は、輿入れする際に様々な条件を出したこともあって、将軍家のいる大奥にはとてもなじめなかったことがうかがえます。
ただ、ドラマで天璋院が言っていたように、、、
「自分は斉彬の政治力を高め、一橋慶喜を次期将軍とするように望まぬ輿入れをしたが、家定はそれを知っており、斉彬を嫌いつつも自分をかわいがってくれた」
というのは事実だったようです。
「凡庸(ぼんよう)の中でも下の下」と酷評された家定でしたが、「気品あるいい人だった」という評価もあるようです。
武家の生まれである天璋院と、天皇家の生まれである和宮は性格も習慣もあっていなかったと思われます。
ですが、「望まぬ輿入れをした」というのは共通するようです。
それでも、家茂と和宮の仲は良かったらしく、家茂の優しい性格がわかると同時に、家茂が平穏に公武合体を進めていきたかったという意向がわかるような気がします。
のちに家茂は脚気衝心で和宮に先立つわけですが、その時の和宮の悲しさは計り知れなかったような気がしますね。
武蔵野国に嫁入りして常に孤独だったのを、常に支えていたのが家茂だったわけですから。
今回は天璋院が、「遠い京都から望まぬ嫁入りをした和宮を、家茂自身で支えてくれ」と直接家茂にアドバイスしているという形でしたね。
ちょっと意外でした。
史実では天璋院と和宮は馬が合わず、昔のドラマで描かれたようなどろどろの対立劇が描かれていくと思っていました。
それにしても、家茂と会話している上白石萌音さんの天璋院(篤姫)はとても可愛いですね。
2008年に放送した宮崎あおいさんの「篤姫」もその放送から10年後の「西郷どん」で篤姫を演じた北川景子さんもとても美しい方でした。
もともと将軍にはなりたくなかったというのが一橋(徳川)慶喜の本音だったようです。
それでも「家康の再来」「沈毅」と言われた慶喜が、人々から非常に頼りにされていたのは確かだったと思います。
ともあれ、慶喜にとってみれば、全国津々浦々からくる攘夷の申請には、迷惑ばかり感じていたのが本音ではないでしょうか。
これ以上責任の重い仕事には就きたくないという思いでしょう。
⇒草なぎ剛(キャスト)が2021年大河ドラマ「青天を衝け」で演じた徳川慶喜とは。
第10話「栄一、志士になる」はいかがでしたか?栄一もまだ尊王攘夷に燃えていましたね。
過去の青天を衝けのあらすじを知りたくなりましたならまとめはこちらです。
⇒2021年大河ドラマ「青天を衝(つ)け」のあらすじ(ネタバレ)と感想のまとめ一覧。
すでに天保の改革失敗と開国によって、幕府の威信は地に落ちていました。それを安政の大獄という強権的な手法で回復しようとした大老・井伊直弼も暗殺されてしまいます。
そこで、なんとか幕府の威信を回復しようと、尊王攘夷志士の心の支えであった天皇家を幕府と接近させる公武合体によって、幕府は威信を回復しようとするのです。
天皇の意向を無視した直弼が、現代で言うとアメリカ第43代大統領ジョン・F・ケネディのように暗殺されてしまったわけです。
ですので、幕府も天皇家を無視できない存在であることを痛感したと思います。
日米修好条約を破棄して幕府を攘夷方針に転換させる代わり、天皇の妹である和宮を将軍家茂に嫁がせようという交換条件でした。
ですが、どうにも和宮の意向を無視した強引な交渉だった故、これがまた攘夷志士の怒りに触れることになるのです。
友人たちの影響や、開国した江戸が没落していく姿を見て、栄一は志士を志し、世の中を変えていく決意をします。
このあたりはSEALDsの影響を受けて市民運動に参加した若者に重なるものもあります。
(※2015年、安全保障関連法案などへの反対運動)
とはいえ多くの若者は、最終的には市民団体との活動に関する対立から、、、
「市民運動なんて無力だ、投資家として、再生可能エネルギーなど様々な先進分野にクラウドファンディングしたほうが世のためになる」
という他の方法論を選んだ若者もいましたよね。
栄一も、当初は単純な破壊活動から、やがて徳川慶喜に見初められて幕臣となり、維新後は日本資本主義の父として経済面で歴史を変えるようになるのです。
栄一の考えの変遷がどのようになるのか、そして単純な尊王攘夷論からどのように経済を発達させる考えに移るのかこれからの「青天を衝け」が気になります。
次回は⇒青天を衝け第11話「横濱焼き討ち計画」のあらすじ(ネタバレ)と感想
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