大河ドラマ2021年「青天を衝け」第16話「恩人暗殺」のあらすじ(ネタバレ)と感想をお届けします。
第15話で西郷隆盛が予言していた通り、渋沢篤太夫を引き立てた平岡円四郎は暗殺されてしまいます。
様々な人々が単純な攘夷をいまだに叫んでいる中で、一橋慶喜の腹心として、単純な外国人暗殺よりも国を一つにまとめ、国力を蓄えることにいそしんでいたが故の悲劇でした。
篤太夫と成一郎が円四郎の死を知るのは、もう少し後になってからのことですが、円四郎は篤太夫の師として、生涯忘れられない存在となったでしょう。
さて、今週は家康さんは登場しませんでしたね。どうしたのでしょうか?お休みです。
篤太夫と成一郎は円四朗の命で、一橋家の新たな兵・家臣を集めるべく関東に向かいます。
わざわざ彼らを見送りにやってきた円四朗は、篤太夫に「お前は、お前のまま生き抜け」と言葉をかけるのです。
これが円四朗が篤太夫への最後の言葉になってしまいました。
先週は⇒青天を衝け第15話「篤太夫、薩摩潜入」のあらすじと感想。栄一改め篤太夫へ。
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前半のキーパーソンで、篤太夫と成一郎を取り立てた平岡円四郎が暗殺される第16話「恩人暗殺」。
要所要所で登場したのが、円四郎の家にある掛け軸に書かれた『鳥』や、物語のラストで篤太夫の頭上を飛び去る『鳥』です。
これは43歳で非業の最期を遂げた平岡円四郎が去っていくのにかけたのかもしれません。こまかい演出ですがにくいなあと思いました。
円四郎の『篤太夫は元は武士ではないのだから、無理に命を投げ出すことはない。お前はお前のまま生き抜け』という言葉はそのままドラマの栄一の根幹になるでしょうね。
円四郎が暗殺される前のつかの間の平穏なひと時が、篤太夫・成一郎とやすの間で行われます。
その直後に円四郎は暗殺されてしまうのですが、そのあとのやすと篤太夫・成一郎の関係がどう変化するのかも気になりますね。
御三卿である一橋家は自前の兵を持たないため、慶喜の腹心である円四郎が篤太夫と成一郎を使って兵を集めようとします。
篤太夫と成一郎は農村地主の生まれで、親類縁者の経済力もあったと思われ、それを頼りに一橋家に志願しようとする人間を集める努力をします。
しかしながら血洗島の渋沢家は、親戚筋の惇忠と平九郎が水戸天狗党とのかかわりを疑われたため、父の勧めで血洗島にはいかないことにします。
さらに友人であった真田範之助にも一橋家の仕官を進めようとします。
ですが、範之助は天狗党のために決起することを決意しており、完全になし崩し的開国を進める一橋家を嫌っており、結果的に絶交・たもとを分かつ形となってしまいました。
当初は栄一や喜作も単純な尊王攘夷論で突き進んでいたはずなのですけれども・・・
栄一の『生きてさえいれば誰かの役にも立てるし、変節の理由も話せる』
という合理的な考え方が、尊王攘夷のために命すら投げ出そうとする多くの尊王攘夷志士の考えと相反するものになってしまったのかもしれません。
また、栄一は円四郎の教えを受け、慶喜が単純になし崩しに開国を進めようとしているのではなく、
外国と渡り合い、話し合いつつ国を一つにまとめようとする慶喜を間近に見てきたから、範之助とはまた違った見方が出来ていたと思うのです。
こののち範之助は天狗党の決起に合わせて鹿島で挙兵しますが、最終的には幕府軍に敗れて戦死することになります。
対して栄一は明治まで生き残り、近代経済を作る役回りを負うわけですから、栄一の先見が正しかった、ということになりますかね。
水戸天狗党の決起および人員と資金を集めるための勧誘に惇忠が応対したことも相まって、惇忠と平九郎は天狗党とのかかわりを持たれ投獄されてしまいます。
実際に天狗党は、人員・資金を集める際に殺人や略奪も行っていたため、水戸家の内部抗争に合わせて出たテロリストとしての見方が今日では強いのです。
ですから、幕府からしてもなるべく早く沈静化したかったのは事実であったと思います。
尊王攘夷の大義名分のもとに殺人・強盗といったことまでも許され、関係ない人間まで巻き込まれてしまう。
次回の一橋慶喜が言っていますが、まさに『尊王攘夷が呪いの言葉になってしまった』証明かもしれません。
いつかの慶喜と円四郎。お互いがひかれあい、円四郎の妻・やすも嫉妬したほど。相思相愛凸凹コンビ。
尊王攘夷のために京の町を焼き払い、天皇を連れ出させて自分のものにしようという吉田敏麿・宮部鼎蔵らを、京都守護職であった松平容保が新選組を使って取り締まったのが池田屋事件でした。
この結果、尊王攘夷志士の憎しみはもちろん容保と新選組に行ったのは当然のことですが、今回は容保を京都守護職に選んだ慶喜も憎しみの対象になったというドラマの筋書きは意外でしたね。
慶喜はこの時「禁裏御守衛総督」として、天皇を守る職業についていたのですから、当然と言えば当然なのでしょうが。
過激な尊王攘夷論を唱える天狗党をはじめとする水戸藩ですが、本来烈公の息子であった慶喜を悪い方向に傾かせたのも、慶喜の腹心である円四郎という見方が藩内で強くなっていきました。
その中で、水戸の過激浪士たちによって、円四郎は暗殺されてしまいます。
『水戸の三ぽい』すなわち『理屈っぽい、怒りっぽい、骨っぽい』特性が水戸人に多かったとされていますが、これもその負の側面であったと言わざるを得ないでしょう。
慶喜自ら円四郎の才を見込んで、出世の道を整えていただけに、この期に及んで有能な腹心を失ったのは、慶喜にとって非常に痛手であったといえましょう。
ドラマの慶喜は非常に自分に自信がない人間として描かれていますが、だからこそ円四郎の力を借りたかったのかもしれません。
この暗殺事件は、慶喜の有能な家臣を失わせただけではありません。
後に「禁門の変」で慶喜自ら長州藩の尊攘志士と切り結ぶという行動、および水戸天狗党の切り捨てを行わせることにつながっていくと思うのです。
青天を衝けのあらすじ(ネタバレ)感想のまとめ一覧はこちら。
→2021年大河ドラマ「青天を衝(つ)け」のあらすじ(ネタバレ)と感想のまとめ一覧。
最後の将軍徳川慶喜は、『徳川家康の再来』『沈毅』と言われていましたが、今日の評価は賛否両論のようです。
それはおそらく、戊辰戦争の中で錦の御旗を見て逃げ出したことや、維新後ほとんどの旧幕臣たちが没落したにもかかわらず、知らんふりで自分は悠々自適の生活を送ったことがあるのかもしれません。
ドラマのように慶喜自身が、「自分はそれほどの実力はないのに、皆が慶喜を買いかぶって神輿として祭り上げようとしている」
と考えていたかどうかはわかりません。
もともと慶喜は長男ではなく、本来なら家に災いをもたらす『厄介』として一生を過ごすことになっていたのですから、当初の慶喜の権力欲が薄かったのも当然だったのかもしれません。
弟であった慶喜がなぜ歴史の表舞台に立ったのか。それは運も多分にあったといえましょう。
円四郎は慶喜のことを本当に買っていたようですが、慶喜はそれが嫌いだったようですが、本人にその意識がなくとも、慶喜は人を引き付ける人間的迫力が十分にあったのかもしれません。
円四郎が暗殺されずに生きていたら、慶喜の治世と行動はどのように変化していったのか?歴史に”もしも”はありませんが、そのことも知りたくなりますね。
篤太夫と成一郎を引き立てた恩人であり、前半のキーパーソンである平岡円四郎が暗殺されました。
篤太夫と成一郎は深い悲しみに包まれると同時に、自立への道をこれから探るのかもしれません。
また、慶喜は水戸の尊攘志士に円四郎を暗殺されたことから、長州をはじめとする尊王攘夷派の志士に激しい憎しみを抱き、禁門の変で自ら敵と切り結び、さらには天狗党を切り捨てるという行動に出ていくのかもしれません。
ここから歴史が急展開していくわけですが、篤太夫・成一郎・慶喜はどのように動いていくことになるのでしょうか。
次週が楽しみです。⇒青天を衝け第17話「篤太夫、涙の帰京」
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