青天を衝け第23話「篤太夫と最後の将軍」のあらすじと感想。大政奉還。

青天を衝け第23話「篤太夫と最後の将軍」のあらすじと感想です。第23話は遂に大政奉還の週でした。

フランスから幕府への借款が立ち消えとなり、窮乏している幕府の財政の中でどのように留学を続けるか四苦八苦し続ける篤太夫。

一方日本では、慶喜の側近であった原市之進が平岡円四郎同様、獅子身中の虫として暗殺されたこともあり、政治を続けていくことが難しいと判断した慶喜は大政奉還を決断します。

これを受けた薩摩は、王政復古の大号令で徳川を排除しようと考えたほか、江戸城への攻撃などで挑発を繰り返し、旧幕府と一戦交えようとします。

戊辰戦争の布石が打たれたといえましょう。

放送日:7月18日
視聴率:14.1%

先週は⇒青天を衝け第22話「篤太夫、パリへ」のあらすじと感想。パリ万博使節団とは?

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青天を衝け第23話「篤太夫と最後の将軍」の感想。大政奉還。

第二次長州征伐が失敗に終わり、財政的にも貧窮している幕府。侮幕(幕府をバカにすること)・倒幕論はさらに強くなっていきました。

加えて水戸から始まった尊王攘夷運動によって、幕府以上に帝を尊ぼうという人々の機運はさらに強くなっていったのです。

その中で慶喜は1867年、大政奉還を行い、260年続いた幕府はついに滅ぶのですが、慶喜にはある思惑があったといいます。

それは、建武新政以来500年間も政治から離れていた朝廷には、経済力も政権担当能力はありません。

天皇の名のもとに、自分が大君として政権を握り、下は幕臣か雄藩の有為の人材によって、引き続き自分がトップに立つというものでした。

『シャッポと担ぐ神輿は軽くてパーがいい』とは90年代の政治家の言葉です。

慶喜もまた、天皇を神輿として担ぎ上げ、自身が引き続き政権を担当しようとしていたのですね。

今回の大河ドラマでは坂本龍馬は登場しませんが、龍馬は土佐の後藤象二郎を介して、大政奉還の図案を提出したといわれています。

もちろん、龍馬の本心はわかりませんが、その記載を見る限り、龍馬も慶喜がトップとして君臨することには賛成だったようです。

しかしながら、ここでメンツをつぶされたのが、幕府勢力と旧体制を徹底的に一掃しようとする薩摩でした。

大政奉還直後、薩摩は公家・岩倉具視を使って幕府方の公家を排除し、王政復古の大号令を出したほか、幕府方の施設に破壊活動を行い、慶喜が戦争を仕掛けるのを待ったのです。

今日でも『明治維新はクーデター』という人は少なくありませんが、その大きな原因はこれにあったのだと思います。

かくして慶喜の大政奉還の策略は失敗し、戊辰戦争につながっていくのです。

パリの篤太夫の動き。

フランスから日本への借款が流れても、引き続き昭武・篤太夫をはじめとする幕臣たちの留学は進んでいくことになるのです。

その中で栄一は、頑固で攻撃的な水戸藩士たちと異なり、外国人の下で勉強するうえでためらいもなく髷を切り落として洋装となり、刀も捨てることになります。

のちに、
『ちょんまげ頭を叩いてみれば、因循姑息(古いことにこだわりこせこせしていること)の音がする、散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする』

というざれ歌が明治になってはやるのですが、篤太夫が何のためらいもなくあっさりと髷を切り落とし、刀も捨てた背景には、やはり根が農村地主の生まれであったと思います。

良くも悪くも武士として頑固である水戸藩士と対比して、その開明的で合理的な考え方を強調したのはうまいと思いますね。

青天を衝け第23話「篤太夫と最後の将軍」の感想。慶喜の大政奉還。

側近を次々と失う中で、慶喜は奇策として、大政奉還をする決意をします。

これによって幕府が消滅し、天下が徳川のものでなくなる中で、ドラマのように不満を持つものが出るのも当然でしょう。

特に慶喜の大奥改革に反発していた大奥が激しく怒り『慶喜が徳川を殺した』と言ったのも、ある意味では当然なのかもしれません。

ただ慶喜は、引き続き自身が政権に立とうという思いが強かったため、幕府の人間たちをリストラしたいという思いは薄かったのではないでしょうか。

ただそれも王政復古の大号令や、薩摩の策略と挑発によって狂っていくのですが……。

薩摩の動き。

倒幕志士が主人公の大河ドラマでは「西郷どん」をはじめ西郷隆盛は『情に厚い古武士』として描かれます。

一方、幕府側の人間が主人公の大河ドラマでの西郷は『権謀術数にたけた政治家』として描かれることが多いですよね。

今回は幕府方の渋沢栄一が主人公で、徳川慶喜がキーパーソンとして描かれているため、西郷は後者として描かれています。

今回強調されていたのは、西郷が過激な倒幕論者で、武力を使ってでも旧体制を一掃しようとする魂胆の持ち主であったということ。

そのためには、慶喜を挑発するための破壊活動すらいとわず、鳥羽伏見の戦いの発端となった薩摩の幕府軍に対する挑発の首謀者にもなるように描かれていましたね。

これには、経済力で薩摩に劣る幕府側の慶喜が政権中枢にいては、世の中は何も変わらないという思いがあったのではないでしょうか。

この点は盟友・大久保利通や、彼らと親しい公家・岩倉具視も同じだったと思います。

幕府側の人間が政権をつかさどっていては、自分の思い通りの政治もできないし、攘夷も実行できないと。

ドラマでは登場しませんが、これには幕臣でありながら幕府の要人に愛想をつかしていた勝海舟の意もあったといわれています。

慶喜の大政奉還。

『沈毅』『英明』『家康の再来』と言われた慶喜が、自ら幕府を閉ざすという道を選んだのも皮肉なものですね。

しかしながらこれは、260年14代かけて続いてきた幕府の経済力と権威が地に落ち、もはや自身の力ではどうにもならないというあきらめもあったのだと思います。

もちろん水戸の生まれで、父・斉昭の元水戸学を懸命に学んできたこともあって、天皇をより尊ぼうという思いもあったのかもしれませんが。

歴史にもしもはありませんが、もし王政復古の大号令と薩摩の破壊活動がなく、慶喜が引き続き政権を取っていたら、日本はどうなったのでしょうか。

そのことも知りたくなりますね。

朝廷の動き。

朝廷はもちろん政権担当能力もそのための財力もなかったようなのですが、薩摩と懇意だった公家の岩倉具視が、薩長の経済力と軍事力を借りる形で王政復古を果たそうとします。

岩倉は当初は幕府と朝廷との結びつきを強くする公武合体派だったのです。

でも、ここまで薩摩との結びつきを強くする形で倒幕に鞍替えしたのは、和宮降嫁の件で自身が佐幕派とみなされ失脚せざるを得なかったことの恨みや、

幕府の人間が政権に居座ったままでは、本当の王政復古が出来ないという自身の理念もあったのでしょう。

公家の生まれで違法なバクチを経営して比較的財を成し、朝廷内における老獪な政治的駆け引きが得意であった岩倉は、明治天皇に助言をするような形で、薩長軍に錦の御旗を持たせるよう働きかけていくのです。

まとめ。

日本の政治情勢が一気に急転直下する中、ヨーロッパに留学している篤太夫は引き続き留学を続けることになります。

日本からの手紙を見て不安に思う篤太夫ですが、それでもヨーロッパの人々が上も下も自分の意欲と財力をもって国力を高めようとする姿に感銘を受け、引き続き勉強を続けることになるのです。

しかし戊辰戦争で旧幕府軍が劣勢になる中、篤太夫も帰国するよう命令がやがて来ます。

幕府が消えていく中で、篤太夫はどのような形で新しい時代に尽くす決意をするのか、それが知りたくなりますね。

オリンピックの関係で次回の放送は8月15日放送⇒青天を衝け第24話「パリの御一新」のあらすじと視聴後の感想。

最後までお読みいただきありがとうございます。