2016年放送のNHK大河ドラマ『真田丸』で、吉田羊さんが演じたのは稲姫(いね)こと小松姫を紹介します。
主人公・真田信繁(堺雅人)の兄、真田信幸(大泉洋)の正室となる女性ですが、私は『真田丸』における稲を、単なる「主人公の兄嫁」とは思っていません。
なぜなら彼女は、徳川家康を支えた猛将・本多忠勝の娘として真田家へ嫁ぎ、やがて「本多の娘」から「真田の妻」へと変わっていく女性だからです。
登場当初の稲は気が強く、誇り高く、信幸に対しても簡単には心を許しません。しかし物語が進むにつれて、その強さが夫と真田家を守るための強さへと変化していきます。
特に関ヶ原の戦いを前に真田家が東西に分裂したとき、稲の存在感は一気に増していきました。
徳川か真田か。
その二つの家の間に立たされた女性だからこそ描ける戦国時代が、『真田丸』にはあります。
そして私は、凛とした強さの奥に妻としての愛情をにじませた吉田羊さんの演技こそ、稲姫の大きな魅力だったと思っています。
まだ『真田丸』を観ていない方、そして10年前に観た方にも、ぜひもう一度、吉田羊さん演じる稲の表情の変化に注目しながらアマプラで『真田丸』を楽しんでもらいたいですね。
強いだけじゃない。愛する人と真田家を守るため、稲は強くなった。
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真田丸の吉田羊(キャスト)は何役?稲姫の魅力と史実を解説。
吉田羊さんが演じた稲は、徳川家と真田家という二つの家を結びつけた重要な女性です。
『真田丸』前半では、どうしても昌幸・信幸・信繁という真田父子や、徳川家康、豊臣秀吉らに目が向きます。
しかし後半になると、稲の存在がじわじわと効いてきます。
私が面白いと思うのは、稲自身が戦場で天下を争うわけではないのに、彼女の人生そのものが戦国時代の勢力図を映していることです。
父は徳川四天王の一人・本多忠勝。夫は真田家嫡男・信幸。そして義父は徳川家康を二度も苦しめた真田昌幸、義弟は後に「真田幸村」として知られる信繁です。
これほど複雑な人間関係の中に嫁いだ女性もなかなかいません。
しかも『真田丸』では、最初から理想的な夫婦として信幸と稲を描きません。ぶつかり合いながら少しずつ互いを理解し、やがて信頼で結ばれていきます。
私はそこに、三谷幸喜脚本らしい「人間としての夫婦」の面白さを感じました。
そして関ヶ原、大坂の陣と時代が大きく動くにつれて、稲は「本多忠勝の娘」以上に、真田信幸の妻として真田家を守る女性になっていくのです。
真田信幸に嫁入りする稲姫(小松姫)とは
稲姫、一般に小松姫として知られる女性は、天正元年(1573年)、徳川家康の重臣・本多忠勝の娘として生まれたとされています。
父・忠勝といえば、徳川四天王の一人に数えられる猛将です。
そんな武将の娘として育った小松姫には、後世、気丈で武勇を尊ぶ女性として数々の逸話が残されました。
やがて小松姫は真田昌幸の嫡男・真田信幸(後の信之)の妻となります。
この婚姻については、徳川家康の養女となったうえで信幸に嫁いだと伝えられており、徳川と真田の関係を考えるうえでも非常に重要な意味を持っています。
真田家は徳川にとって決して扱いやすい存在ではありませんでした。昌幸は第一次上田合戦で徳川軍を破っています。
「その真田家の跡取りである信幸と、徳川重臣・本多忠勝の娘が夫婦になる。」
戦国時代の婚姻が、個人と個人だけではなく「家と家」を結びつける政治的な意味を持っていたことがよく分かります。
しかし『真田丸』が面白いのは、そんな政略結婚から始まった二人を、次第に本当の夫婦へと変化させていったことです。
そして最大の見せ場が、慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いを前に訪れます。
真田家の分裂。
昌幸と信繁は石田三成ら西軍へ。一方、信幸は徳川家康率いる東軍へ。つまり稲にとって、義父・昌幸と義弟・信繁が夫の敵になってしまったのです。
小松姫には、この時期に沼田城を守り、立ち寄ろうとした昌幸らの入城を拒んだという有名な逸話があります。
『真田丸』でも第36話「勝負」で、この逸話を生かした印象的な場面が描かれました。
私はこのシーンこそ、吉田羊さんの稲が「本多忠勝の娘」から「真田家を背負う女性」になった瞬間の一つだと思っています。
義父だからと情に流されて城門を開ければ、夫・信幸を裏切ることになる。しかし敵として追い払うだけでは、あまりにも冷たい。
稲は感情を抱えながら、それでも城を守る。
稲の強さとは、単なる男勝りの勇ましさではありません。守らなければならないものを自分で決め、その責任を引き受ける強さだったのではないでしょうか。
関ヶ原後、昌幸と信繁は九度山へ送られ、信幸は「信之」と改名して徳川政権下で真田家を存続させていきます。
さらに時代が進み、大坂の陣では信繁が豊臣方として大坂城へ入り、徳川家と戦うことになります。
ここでも稲の立場は複雑です。
稲の大坂の陣。
夫・信之とその子どもたちは徳川方。一方、大坂城には夫の弟・信繁がいます。つまり関ヶ原で分裂した真田家の運命は、大坂の陣で再び敵味方に分かれます。
『真田丸』第41話「入城」では、徳川家康から出陣命令を受けた信之が息子たちを初陣させようとするなか、稲がある提案をする展開も描かれています。
戦国の女性は、自ら大軍を率いて戦わなくても、「誰を戦場へ送り出すのか」「家をどう残すのか」という非常に重い決断の中で生きていました。
稲もまた、その一人だったのです。
真田丸の吉田羊(キャスト)は何役?稲姫の魅力と史実を解説のまとめ。
稲姫の生涯と吉田羊が演じた「真田の女」
小松姫は本多忠勝の娘として生まれ、徳川家康との縁を介して真田信幸の妻となり、徳川と真田という二つの武家を結びつけました。
そして関ヶ原では、夫が徳川方、義父・昌幸と義弟・信繁が西軍という過酷な状況に置かれます。
それでも夫・信之とともに真田家を支え、徳川の世になってからも家をつないでいきました。
小松姫は元和6年(1620年)に亡くなったとされています。大坂夏の陣から5年後ですね。
彼女の人生を振り返ると、「猛将・本多忠勝の娘」という肩書だけでは語り尽くせない女性だったことが分かります。
そして『真田丸』で、その人物像をさらに魅力的にしたのが吉田羊さんでした。登場したばかりの稲は、少し近寄りがたいほど気が強い姫です。
ところが信幸との時間を積み重ねるにつれて表情が柔らかくなり、夫を支える妻となり、やがて真田家を守る母へと変わっていきます。
吉田羊さんは、その変化を大げさに演じるのではなく、目線や声の調子、表情のわずかな違いで見せてくれました。
私は特に沼田城で昌幸と信繁を迎える場面が忘れられません。
あの場面の稲は「本多忠勝の娘」であり、「真田信之の妻」であり、同時に昌幸の「嫁」でもあります。
そのすべてを背負って城門に立つ姿には、戦国を生き抜く女性の覚悟が凝縮されていました。
『真田丸』は信繁の物語です。
しかしもう一度見返してみると、真田家を守ったのは戦場で戦った男たちだけではなかったことに気づかされます。
そのことを最も鮮烈に教えてくれる人物の一人が、吉田羊さん演じる稲、小松姫だったと思います。
大河ドラマ倶楽部管理人の31chanです。
長年販促活動と局の下請けで番組制作に従事。現場で培った視点を活かし、今も大河ドラマとキャストを深く追い続けるシニア大河ファン。
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