幕末の動乱期、江戸城無血開城を実現し、日本を内戦の危機から救った勝海舟(かつかいしゅう)。
坂本龍馬の師としても知られる勝海舟は、NHK大河ドラマで何度も描かれてきた歴史上の人物です。
実は、1967年の『三姉妹』から2018年の『西郷どん』まで、10作品もの大河ドラマに登場しています。
そして2027年の大河ドラマ『逆賊の幕臣』では、大沢たかおさんが勝海舟を演じます。
これまで勝海舟を演じてきた俳優には、渡哲也さん、松方弘樹さん、北大路欣也さん、武田鉄矢さん、遠藤憲一さんなど、日本を代表する名優たちが名を連ねています。
興味深いのは、同じ勝海舟という人物でありながら、放送された時代や主人公との関係によって、その人物像が大きく異なることです。
- 2027年 逆賊の幕臣 大沢たかお
- 2018年 西郷どん 遠藤憲一
- 2013年 八重の桜 生瀬勝久
- 2010年 龍馬伝 武田鉄矢
- 2008年 篤姫 北大路欣也
- 2004年 新選組! 野田秀樹
- 1998年 徳川慶喜 坂東八十助(のちの十代目坂東三津五郎)
- 1990年 翔ぶが如く 林隆三
- 1974年 勝海舟 渡哲也・松方弘樹
- 1968年 竜馬がゆく 加東大介
- 1967年 三姉妹 内藤武敏
今回は、大河ドラマの歴代「勝海舟」を演じた俳優(キャスト)と出演作品を最新作から振り返り、時代ごとの勝海舟の魅力を詳しく紹介します。
大河ドラマの歴代「勝海舟」が登場した作品名と俳優(キャスト)一覧。2000年以降。
勝海舟とはどのような歴史上の人物だったのか?
勝海舟(1823~1899年)
勝海舟は、江戸幕府の幕臣として幕末の日本を支えた政治家・軍事指導者です。通称は勝麟太郎、名は義邦、のちに安芳と改名しました。
貧しい旗本の家に生まれながら、蘭学や西洋の軍事技術を学び、幕府の海軍整備に尽力しました。
1860年には咸臨丸で太平洋を横断し、アメリカを訪問。その後、神戸海軍操練所の設立に関わり、坂本龍馬ら若者たちに大きな影響を与えました。
勝海舟の最大の功績は、1868年の江戸城無血開城です。新政府軍の西郷隆盛と交渉し、江戸の町を戦火から守る道を開きました。
幕府に仕えながらも幕府の存続だけにこだわらず、日本の将来を見据えて行動した人物です。
2027年『逆賊の幕臣』勝海舟役:大沢たかお。
幕府の改革を目指した小栗忠順と、幕府の枠を超えた未来を考える勝海舟。
2027年の『逆賊の幕臣』では、松坂桃李さん演じる小栗上野介忠順の最大のライバルであり、理解者でもある勝海舟を大沢たかおさんが演じます。
大沢さんといえば、2009年のTBSドラマ『JIN-仁-』で演じた南方仁役が印象的です。
幕末の世界にタイムスリップした医師を演じた大沢さんが、今度は幕末の歴史を動かした勝海舟として大河ドラマに登場します。
本作では、近代化を目指しながらも異なる道を選んだ小栗忠順と勝海舟の関係が、大きな見どころとなります。
これまで英雄として描かれることが多かった勝海舟ですが、今回は嫉妬や野心も抱えた人間味あふれる人物として描かれる予定です。
現代社会でも組織改革やリーダーシップが問われる中、幕府という巨大組織をどう変えるべきか。二人の対立は、現代にも通じるテーマといえるでしょう。
2018年『西郷どん』勝海舟役:遠藤憲一。
西郷隆盛と対峙し、江戸を戦火から救おうとした幕臣。
鈴木亮平さんが西郷隆盛を演じた『西郷どん』では、遠藤憲一さんが勝海舟を演じました。
2018年は明治維新から150年という節目の年でした。各地で維新に関連する記念事業が行われ、幕末の歴史に改めて注目が集まりました。
そんな年に放送された『西郷どん』で重要だったのが、勝海舟と西郷隆盛の関係です。
遠藤さんの勝海舟は、豪胆さと交渉力を感じさせる人物像が特徴です。西郷と向き合う姿からは、幕府の立場を超えて江戸の人々を守ろうとする決意が伝わります。
2013年『八重の桜』勝海舟役:生瀬勝久。
幕府の終焉を見つめながら、日本の未来を模索した勝海舟。
綾瀬はるかさんが新島八重を演じた『八重の桜』では、生瀬勝久さんが勝海舟役を務めました。
2013年は東日本大震災からの復興が大きな社会的テーマとなっていた時代です。『八重の桜』は福島県会津地方を舞台に、戊辰戦争を生き抜いた人々の姿を描きました。
幕府側の会津藩が激しい戦いに巻き込まれる一方、勝海舟は江戸で戦争回避の道を探ります。
生瀬さんが演じる勝海舟は、複雑な政治情勢を読みながら現実的な判断を下す幕臣として、会津の人々とは異なる立場から幕末を見つめる存在でした。
2010年『龍馬伝』勝海舟役:武田鉄矢。
坂本龍馬の人生を大きく変えた師匠・勝海舟。
福山雅治さんが坂本龍馬を演じた『龍馬伝』では、武田鉄矢さんが勝海舟役を務めました。
武田さんは坂本龍馬を敬愛する俳優として知られ、1985年の映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』では、自ら龍馬を演じています。
その武田さんが、今度は龍馬の師匠である勝海舟を演じたことも大きな話題となりました。
2010年はスマートフォンやSNSが広がり始め、人々の情報発信やコミュニケーションが変わりつつあった時代です。
『龍馬伝』で描かれた勝海舟は、古い常識にとらわれず、世界に目を向けることの大切さを龍馬に伝える人物でした。
武田さんならではの熱量のある演技によって、龍馬の成長を導く師匠として強い印象を残しました。
2008年『篤姫』勝海舟役:北大路欣也。
徳川家の存続と江戸の平和を願う、重厚な勝海舟。
宮﨑あおいさんが天璋院篤姫を演じた『篤姫』では、北大路欣也さんが勝海舟を演じました。
2008年はリーマン・ショックによる世界的な金融危機が起こり、社会に大きな不安が広がった年でした。
そんな時代に放送された『篤姫』は、女性の視点から幕末の徳川家を描き、大きな人気を集めました。
北大路さんの勝海舟は、威厳と包容力を兼ね備えた人物として登場します。幕府の終焉が迫る中、徳川家の人々を守ろうとする篤姫と、江戸を戦火から救おうとする勝海舟。
それぞれ異なる立場にありながらも、守るべきものを見失わない姿が印象的でした。
2004年『新選組!』勝海舟役:野田秀樹。
時代を見通す知性と独特の個性を持つ勝海舟。
香取慎吾さんが近藤勇を演じた『新選組!』では、劇作家・演出家としても活躍する野田秀樹さんが勝海舟役を務めました。
2004年はアテネオリンピックで日本選手が活躍し、スポーツ界が盛り上がった年でした。
一方、大河ドラマでは三谷幸喜さんが初めて脚本を手がけた『新選組!』が、若い隊士たちの友情と葛藤を描きました。
野田さんの勝海舟は、従来の重厚な幕臣像とは異なり、知性や独特の軽妙さを感じさせる人物です。
時代の変化を読み取る勝海舟の存在が、新選組の若者たちとの対比を際立たせました。
大河ドラマの歴代「勝海舟」が登場した作品名と俳優(キャスト)一覧。2000年以前。
2000年以前の大河ドラマにも、勝海舟は数多く登場しています。
1998年の『徳川慶喜』、1990年の『翔ぶが如く』、そして1974年には勝海舟自身を主人公とした『勝海舟』が放送されるなど、幕末を描く大河ドラマには欠かせない人物でした。
しかし、昭和から平成初期に放送された作品をリアルタイムで視聴し、今も鮮明に覚えている方は少なくなっているかもしれません。
当時は高度経済成長やバブル景気など、日本社会が大きく変化した時代でもありました。
そんな時代に、渡哲也さん、松方弘樹さん、林隆三さんなどの名優たちは、幕末の英雄・勝海舟をどのように演じたのでしょうか。
ここからは、2000年以前の大河ドラマに登場した歴代「勝海舟」を、当時の社会背景や懐かしい俳優たちの顔ぶれとともに振り返ります。
昔の大河ドラマをご覧になった方には懐かしく、初めて知る方には新鮮な発見となるかもしれません。
1998年『徳川慶喜』勝海舟役:坂東八十助。
最後の将軍・徳川慶喜を支えた幕臣としての勝海舟。
本木雅弘さんが徳川慶喜を演じた『徳川慶喜』では、歌舞伎俳優の坂東八十助さん(のちの十代目坂東三津五郎)が勝海舟を演じました。
1998年は長野冬季オリンピックが開催され、日本中がスポーツの感動に包まれた年です。
一方、日本経済では金融不安が続き、社会全体が変革を求められる時代でもありました。
『徳川慶喜』では、幕府という巨大な組織を存続させようとする将軍の苦悩が描かれます。その中で勝海舟は、幕府の将来を冷静に見つめる重要な人物として登場しました。
歌舞伎で培った坂東さんの表現力が、幕末の政治家としての勝海舟に独特の存在感を与えています。
1990年『翔ぶが如く』勝海舟役:林隆三。
西郷隆盛と向き合う幕府側の知識人・勝海舟。
西田敏行さんが西郷隆盛、鹿賀丈史さんが大久保利通を演じた『翔ぶが如く』では、林隆三さんが勝海舟役を務めました。
1990年はバブル景気の終盤にあたり、日本社会が大きな転換点を迎えようとしていた時代です。
『翔ぶが如く』は、幕末から明治維新にかけて日本を変革した西郷隆盛と大久保利通の生涯を描きました。
林さんの勝海舟は、幕府側に立ちながらも時代の変化を理解する人物として登場します。
西郷隆盛との関係を通じて、敵対する勢力同士であっても話し合いによって未来を切り開けることを示した人物でした。
1974年『勝海舟』勝海舟役:渡哲也・松方弘樹。
勝海舟自身が主人公となった、歴代大河ドラマの中でも特別な作品です。
1974年は高度経済成長が終わりを迎え、前年のオイルショックの影響で物価上昇が社会問題となっていた時代でした。
この年に放送された『勝海舟』は、幕末の混乱を乗り越え、新しい日本の姿を模索した勝海舟の生涯を描きました。
当初は渡哲也さんが主人公を演じていましたが、病気による降板を受け、第10話から松方弘樹さんが役を引き継ぎました。
主演俳優が途中交代するという異例の出来事がありながら、作品は最後まで放送されました。
若き日の勝海舟から江戸城無血開城に至るまで、幕臣としての葛藤や成長を中心に描いた作品です。
1968年『竜馬がゆく』勝海舟役:加東大介
若き坂本龍馬を導いた人生の師・勝海舟。
北大路欣也さんが坂本龍馬を演じた『竜馬がゆく』では、加東大介さんが勝海舟を演じました。
1968年は日本の高度経済成長期であり、世界では学生運動や社会改革の動きが広がっていた時代です。
『竜馬がゆく』は、司馬遼太郎の小説を原作として、幕末の日本を駆け抜けた坂本龍馬の生涯を描きました。
勝海舟は、若き龍馬に世界情勢や海軍の重要性を教える人物として登場します。加東さんの勝海舟は、豊富な人生経験を持つ師匠としての存在感が特徴です。
1967年『三姉妹』勝海舟役:内藤武敏。
大河ドラマに登場した最初期の勝海舟。
1967年の『三姉妹』では、内藤武敏さんが勝海舟を演じました。1967年は高度経済成長が続き、日本ではカラーテレビの普及が進んでいた時代です。
『三姉妹』は幕末から明治維新へと移り変わる激動の時代を、三姉妹の人生を通して描いた作品でした。
内藤さんが演じた勝海舟は、幕末の政治情勢を理解するための重要な歴史上の人物として登場しています。
後年の大河ドラマで勝海舟が主人公や主要人物として描かれる以前の、貴重な配役といえるでしょう。
まとめ|大河ドラマの歴代「勝海舟」は時代によってどう変わったのか?
大河ドラマの歴代「勝海舟」を振り返ると、1967年の『三姉妹』から2027年の『逆賊の幕臣』まで、実に60年にわたって同じ歴史上の人物が描かれていることが分かります。
しかし、その勝海舟像は決して一つではありません。
1960年代から1970年代には、坂本龍馬を導く師匠や、新しい日本を切り開いた幕末の英雄として描かれました。
1990年代には、幕府の終焉を見つめながら難しい政治判断を迫られる幕臣として、2000年代には徳川家や若い志士たちとの関係を通して、その人物像がより多面的に描かれるようになります。
そして2010年代には、江戸城無血開城を実現した交渉人としての姿が印象を残しました。
さらに2027年の『逆賊の幕臣』では、大沢たかおさんが、松坂桃李さん演じる小栗忠順のライバルであり理解者でもある勝海舟を演じます。
英雄としての功績だけでなく、嫉妬や葛藤、政治的な対立を抱えた一人の人間として、どのような勝海舟が描かれるのでしょうか。
同じ勝海舟であっても、主人公が変われば見える歴史も変わります。
歴代の名優たちが演じてきた勝海舟を見比べることで、幕末という時代の奥深さを改めて感じることができるのではないでしょうか。
- 2027年 逆賊の幕臣 大沢たかお
- 2018年 西郷どん 遠藤憲一
- 2013年 八重の桜 生瀬勝久
- 2010年 龍馬伝 武田鉄矢
- 2008年 篤姫 北大路欣也
- 2004年 新選組! 野田秀樹
- 1998年 徳川慶喜 坂東八十助(のちの十代目坂東三津五郎)
- 1990年 翔ぶが如く 林隆三
- 1974年 勝海舟 渡哲也・松方弘樹
- 1968年 竜馬がゆく 加東大介
- 1967年 三姉妹 内藤武敏
大河ドラマ倶楽部管理人の31chanです。
長年販促活動と局の下請けで番組制作に従事。現場で培った視点を活かし、今も大河ドラマとキャストを深く追い続けるシニア大河ファン。
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