2006年の大河ドラマは「功名が辻」で,実力派俳優・柄本明さんが演じた「秀吉」を紹介します。
「功名が辻」は三天下人に翻弄されながらも功名を立てて出世する、山内一豊の妻・千代が主人公です。
関ケ原の合戦後、土佐24万石の大名になる山内一豊夫婦の愛が溢れている大河ドラマです。
序盤の秀吉は明るい人物でありながら、晩年になると失策続きとなり、臨終においては淀殿に対して鬼気迫る表情を見せるなど、非常に印象深い役でもありました。
さて、2006年の世界はイラクの独裁者であったフセイン政権が正式に倒れた年でした。
日本では良くも悪くも郵政民営化を成し遂げた小泉純一郎氏が退陣し、安倍晋三氏が総理になった年です。
そんな年に放送されたのが大河ドラマ『功名が辻』です。先ずはオープニングテーマをお聞きし懐かしんで下さい。
柄本明は大河ドラマ2006年「功名が辻」で秀吉を演じる。
登場当初は史実通り極めて明るい人物、しかし晩年は失策だらけで耄碌(もうろく)した秀吉と、おおむね「功名が辻」の秀吉は史実に近い描き方です。
しかしながら当初から、直属の部下であった山内一豊に『槍一筋で働く武士はもういらない』などと何度も試練を与えるような態度をとって一豊を挑発してきました。
愚直で武骨な一豊にとっては嫌な上司以外の何物でもなかったのでしょう。
ですが、秀吉のような直属の上司がいたからこそ、一豊も一国一城の主になったのかもしれませんね。
この辺りは秀吉らしく『人たらし』『人使いの天才』というべきなのでしょうか。その柄本明が演じる秀吉をアマゾンプライムのNHKオンデマンドで観て下さい。
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柄本明が演じる大河ドラマ「功名が辻」での主な秀吉登場シーン。
第18話「秀吉謀反」。
信長への謀反の疑いを晴らすためとはいえ、阿呆を装って大宴会を演じる秀吉です。その明るさと同時に、背腹定まらない松永弾正(久秀)が反乱を起こした際には、
「頭を使って説き伏せろ、比叡山のようなことになってはそちも寝覚め悪かろう」
と冷酷な言葉を放つあたりは、この時から秀吉の二面性が出てきていたのではないかと思われます。
第23話「本能寺」。
今までの大河ドラマとは一線を画すため、本能寺の変はわずかながらの尺で終わらせた23話でした。
悲しみに暮れながらも、中国大返しを実行する秀吉はかっこいいようにも見えました。そのあとの山崎の戦も割とあっさりと描かれたのは拍子抜けでしたね。
第32話「家康の花嫁」
強引に秀吉の妹・旭夫婦を離縁させて家康に嫁がせようとするなど冷酷な策略を駆使する秀吉です。
旭夫婦を巧妙に説得するあたりは、やはり人使いの天才といえるからなのでしょうか。
その一方で、家康と旭の婚儀申し入れは山内一豊に任じさせ、妻の千代が騒ぎ立てないようにするなど、したたかな悪役としての面を秀吉は見せたのだと思います。
第34話「聚楽第(じゅらくてい)」行幸。
のちに秀次が切腹することになると破却される聚楽第です。
秀吉は派手好きらしく、そこに天皇を招き入れてもてなそうとし、一豊と石田三成に世話役を任せることになります。
『上様は近頃調子がくるっておられる』とこぼす一豊でした。
ですが、このころはまだ天下を取ったばかりなので、派手好きながら機転の利く秀吉だったといえるのではないでしょうか。
しかしながら淀との間に捨丸(鶴松)が生まれたあたりから、秀吉はおかしくなっていったものだと思われるのです。
史実でも、淀殿の鶴松妊娠を皮肉った聚楽第南大鉄門の落首『大仏の功徳もあれや槍刀 釘かすがいは子宝恵む』から秀吉はおかしくなったという説が有力ですよね。
第39話「秀吉死す」
秀頼の元服式がいつ行われたかはわかりませんが、耄碌(もうろく)した秀吉は家康に対して、秀忠と江を結ばせるよう勧めていましたね。
秀吉の最期のシーンはやはり描かれています。
市に成りすました茶々に『猿』呼ばわりされ、『はよう死になされ』と言われて激昂するときの姿は、非常に鬼気迫ると同時に不気味さを感じました。
晩年の耄碌した秀吉の描写がここに極まれりといった感じでした。
天下人も最後は一人で旅立ちますね。そして大河ドラマ秀吉の最期には必ず主人公が秀吉の側にいます。
まとめ。
軽妙洒脱な人物でありながら、権力を手に入れていって悪人となっていった柄本明さん演じる秀吉です。
同時に山内一豊にとっては、いやな上司であったと同時に一豊を育てた人間であるとも取れるのです。
猿顔のような顔立ちと、悪役も明るい役も同時にこなせる柄本明さんの演技で非常に注目されていったと思います。
明るさと不気味さを持つ秀吉を演じた柄本明さん。
近年は悪役を演じることの多い柄本さんですが、次はどのような役を演じることになるのか、息子さん達もそうですが楽しみです。
(息子さんたちも「2021青天を衝け」で大河デビューし、佑さんは2024年「光る君へ」で主人公・紫式部の相手役藤原道長を1年間演じました)
大河ドラマ俱楽部の管理人です。
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