大石静が脚本を担当する大河ドラマ2024年「光る君へ」の注目ポイントを大石静の解説も加えながら紹介します。
俳優(女優)の吉高由里子が主人公・紫式部(まひろ)を演じるNHKの大河ドラマ『光る君へ』が2024年1月7日にスタートしました。
大石静が登場する特徴的なキャラクターたちや作品の見どころについて語っています。
「光る君へ」の舞台は平安中期です。分からないことが多い時代ですので、大石さんのコメントを参考に勉強していきたいと思います。
大石静(脚本家)が描く「光る君へ」の見どころ。
紫式部が書いた「源氏物語」それは、世界最古の女性文学といわれています。きらびやかな平安貴族の世界。
その時代に懸命に生きて、書いて、愛した女性の一生を大石静さんがスリリングなオリジナルストーリーとして描きます。
放送日 | 2024年1月〜12月 (放送開始は2024年1月7日) |
総合テレビ | 毎週日曜午後8時~ |
BS・BSP4K | 毎週日曜午後6時~ |
作 | 大石 静(オリジナル作品) |
制作統括 | 内田ゆき |
演出 | 中島由貴/佐々木善春 |
主演 | 吉高由里子(役:まひろ=紫式部) |
大石静が描く「光る君へ」
大河ドラマの歴史において2番目に古い時代を扱う「光る君へ」は戦がない時代を描くというチャレンジングな題材です。
吉高由里子が演じる紫式部(まひろ)と生涯のソウルメイトとなる柄本佑が演じる藤原道長との関係が物語の大きな軸となります。
大石静は世間が抱くイメージとは異なる藤原道長を描きたいとコメントしています。
序盤は二人のラブストーリーで展開し、少しずつ政治劇の要素が強まっていきますが、その中には貴族社会に不満を持つ庶民の視点も織り交ぜて展開しています。
紫式部(まひろ)と藤原道長がお互いの身分を隠しながらも偶然にいや必然的に出会うシーンから、父の藤原兼家が陰謀する権力支配に少し触れている伏線。
そこに、庶民の見世物であった「散楽」の一団が加わることで権力批判が加わってきます。
⇒大河ドラマ2024年「光る君へ」のあらすじ(ネタバレ)と感想のまとめ一覧。
大石静がイメージするキャラクター。
大石静から見た各キャラクターの魅力は?
大河ドラマは1年という長編ドラマなので前編で紹介されているキャラクターだけではありません。
登場人物も当然多くいますし、“クセの強い”キャラクター設定もあります。秋山竜次が演じる藤原実資や本郷奏多が演じる花山天皇などはその典型ですよね。
キャラクター設定やそのキャラクターにマッチするキャスト選定は脚本を執筆する際の重要ポイントですからね。
「キャラ設定がはっきりしていないと、物語が転がっていきません。だから、キャラ設定にまずはエネルギーを注ぎます。」と大石さんはコメントしています。
大石静がイメージする紫式部(まひろ)。
「光る君へ」の紫式部像
何が本当かは分からないけど、私はきっとこうだっただろうって思うことを描きたい。
このように語る大石静、紫式部の魅力を語っています。大石さんの紫式部(まひろ)像は、気難しい女性です。
やりたい事とできない事の狭間で葛藤し、時にうそをつき、失言もします。ともすると嫌な女になってしまいそう。
しかし、そこは吉高由里子が演じることでまひろがチャーミングに見えてします。第4話まで視聴する限りではその展開になっています。
⇒吉高由里子(キャスト)が大河ドラマ「光る君へ」で演じるのは紫式部(まひろ)とは。
大石さんの吉高由里子像は、すごく明るくて弾けた陽な感じだそうですが、悲しさ・寂しさみたいないわゆる陰も同居しているようです。
彼女自身が持っている陰と陽のバランスが、紫式部の気難しい感じに合っているなと思っています。とコメントしています。
大石静がイメージする藤原道長像。
大石静が「光る君へ」でイメージする藤原道長像を紹介します。
藤原道長が詠んだ「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたる ことも なしと思へば」
「この世で自分の思うようにならないものはない。満月に欠けるもののないように、すべてが満足にそろっている」
この歌から道長は傲慢な独裁政治を行った権力者という印象を持たれています。摂関政治の全盛期でその頂点にいた藤原道長。
でも、その後の集団で殺し合う武士の時代がそんなによかったのかと考えると、そうでもないと思うんですよね」とコメントする大石さん。
大石氏が描こうとしている道長について次のように話しています。
時代考証の倉本一宏先生は、武士の時代が潔いというのは、国民に兵士の意識を植えつけたかった明治政府の戦略。
平安時代は非常にレベルの高い政治が行われていたので、400年にわたって大きな戦はなく、話し合いによってものを解決した時代でした。
江戸幕府時代の260年より長い間、内乱はありませんでした。
第1回で三郎(道長)が、
俺は怒るのが好きじゃない。
との台詞が道長の政治の根本なんですね。天皇の独裁にならないよう、自分も力を持って、天皇の間違いも諫められるようにしていたんです。
当時は非常にレベルの高い政治が行われていて災害には庶民のためにも助け小屋が作られていたりしていました。
令和の現政権の政治はどうでしょうか?内乱はありませんが、地震や水害などの天変地変での災害への対策は十分でしょうか?
道長が生きた平安時代は400年に渡って大きな戦がなく話し合いによって物事を解決していた時代です。
「光る君へ」では、蹴鞠や、歌を詠んでいるだけではなく、朝から晩まで忙しく働く官僚を描くと言います。
道長と平安時代への印象は、これまでと相当違うものになると思います。
大石静がイメージする安倍晴明像。
安倍晴明のイメージを大石さんは、霊能力者は私たちに計り知れないものなので、常に何を考えているかわからない風にしたいなと思って描いています。
安倍晴明って色んな作品ですごく綺麗な格好をした描かれ方をしている印象を持っています。
ただ、貴族の手下でもあるのでもっと普通っぽい方がリアルなので今後は変わるかもしれません。
安倍晴明がどのように変わっていくのか?見守りましょう。
⇒ユースケ・サンタマリア(キャスト)が「光る君へ」で演じる「安倍晴明」とは。
大石静がイメージするオリジナルキャラクター直秀とは。
毎熊克哉さん演じる散楽の一員であり盗賊の直秀。オリジナルキャラクターなので第4話までは魅力的に描かれています。
大石さんが描く直秀像は?
貴族と言われる人たちは当時1000人ちょっとぐらいしかいなかったようです。全国で見たら貴族は0.01パーセントぐらいだと思うんですよね。
その1000人だけの世界を描いていては、やっぱりちょっと偏っているなと思って庶民の視点を最初に出しておかなきゃいけないと思って設定したのが「散楽」です。
藤原氏に対する批判の心を持っているものを出してバランスを取りたいなと思って設定しました。
⇒毎熊克哉(キャスト)が2024年大河ドラマ「光る君へ」で演じる直秀とは。
大石静と源氏物語。
「源氏物語」は男と女が寝たり起きたりする物語の印象ですけど、それだけではなく、その行間に紫式部が込めた深い人生哲学があると言う大石静。
恋愛観、文学感、権勢批判などが色濃く表現されているところが、紫式部という文学者が、世界的に高く評価されている所以だとも言っております。
「源氏物語」を描くことはないそうです。しかし、若紫と光源氏の出会いのように、小鳥を追いかけていって少女まひろと少年道長は出会います。
随所に「源氏物語」のエピソードは散りばめてあるそうで、「源氏物語」を勉強するチャンスになるかも知れません。
大石静が描く藤原家の権力闘争。
山崎豊子さんの「華麗なる一族」も血族の中の足の引っ張り合いと権力闘争ですが、そういうハラハラ感と切なさに近いですね。
上昇志向、権力志向の強い藤原の長男・道隆、道兼と、欲がないながら、冷めた目で一族の闇をみつめる道長の関係も、相当スリリングだと思います。
大石静が想う大河ドラマ。
見慣れた戦だけが、大河ドラマの醍醐味ではないのだということは、ぜひ示したいですね。と語る大石さん。
さらに、大きな合戦がない本作の“山場”は
戦の面白さと言っても、その戦に至る人の心、戦における駆け引きを描いてこそ、面白い訳ですよね。
それは人の心の内を丁寧に描くことで、今回とそう変わりません。
それに、おなじみの時代だと、次に何の戦で誰が死ぬとわかっていますが、平安時代のことは、ほとんどの方がご存知ないので、
次に何が起きるかわからない面白さは、断然あると思うのですよ。
と力強く語っていますので期待しましょう。それと、エロスが漂う雰囲気もあるそうです。
大石静とは。
吉高由里子と柄本佑とは2020年の日本テレビ系ドラマ「知らなくていいコト」に続きタッグを組みます。
プロフィール。
誕生日:1951年9月15日
出身地:東京都
東京生まれ。1986年にテレビドラマの脚本家としてデビューして以来、オリジナル作品を中心に多数のテレビドラマの脚本を執筆。
作品受賞歴。
- 1997年:第15回向田邦子賞と第5回橋田賞。NHK:連続テレビ小説「ふたりっ子」
- 2011年:東京ドラマアウォード脚本賞。NHK「セカンドバージン」
- 2021年:NHK放送文化賞を受賞。
- 2021年:旭日小綬章を綬章。
過去の執筆作品。
- NHK:連続テレビ小説「オードリー」、大河ドラマ「功名が辻」
- 日本テレビ:「家売るオンナ」、「知らなくていいコト」
- TBS:「長男の嫁」、「大恋愛~僕を忘れる君と」
- フジテレビ:「アフリカの夜」、「愛と青春の宝塚~恋よりも生命よりも~」
- テレビ朝日:「和田家の男たち」、「星降る夜に」
まとめ。
貴族はとにかく血を見ることは“穢れ”だと思っているので、自ら手を下して人を殺すことは基本的にしませんでした。
雇っている下っ端の人たちに都合の悪いやつを排除させたり殺させたりしていたかもしれませんが、それが武士の始まりのようなものですね。
平安時代から200年後を描いた「鎌倉殿の13人」は戦で勝負をつける武士の権力闘争でしたね。
1000年前の宮廷も、現代(令和)の政治における覇権争いみたいなもので、出世欲と嫉妬と権謀術策がうずまいていたのですね。
いつの時代も政治家と言う人種は同じなのだなと思います。
大河ドラマ俱楽部の管理人です。
NHK大河ドラマをこよなく愛し毎週楽しみに視聴しています。
ただ視聴するだけでなく「あらすじと感想」を紹介しています。
でもリアルタイムで見ることができない時は見逃し配信で見たり
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